野辺送り

Carolyn Wonderland---"Georgia On My.." 青い空を眺めていて『野辺送り』の光景が頭に浮かんで来ることがある。晴れわたった空の下、田んぼの畦道をゆっくり進む葬列、弔いの飾りが太陽の光の中でキラキラと揺れている・・・。 私は十年程前田舎に住んでい…

喫茶去

Anita O'Day Tea For Two (Improved) 昼食時にお茶を入れようとしたらちょうど切れていた。仕方がないので『さ湯』で我慢した・・・実に味気なかった。そして『茶』という飲み物、文化がいかに日本人の食文化を華やかなものにして潤わせているかを痛感させら…

鳥瞰図

Drive By Truckers 'Gravity's Gone' at Sundown in the City 鳥が観たような景色の地図とでもいうのか。私はこの『鳥瞰図』という言葉に出会ったときに何かロマンのようなものを感じてしまった。ライト兄弟が実際に空を飛ぶ以前、レオナルドダビンチ以前の…

夢路の伴侶

Wilco, Nick Lowe & Mavis Staples rehearse "The Weight" 眠りにつくまで音楽を聴くという習慣を持つようになったのはいつ頃のことだろうか。昔はマンガ本や本を布団の中でよく読んだ、そして無意識、意識的に本を畳の上にパタリと落として夢の中へ落ちて行…

再構築

Watkins Family Hour - Steal Your Heart Away - Live at Lightning 100 ここに「名作文学に見る家」という本がある。二葉亭四迷から向田邦子、バルザックにいたるまでの文学作品に登場した「家」が図面で記されている。最初はおもしろいなと思って購入した…

音のかけらを胸に・・・再び街へ・・・

阿部薫 1977.9.24 福島「パスタン」 仕事を終え街の喧騒,人いきれを潜り抜けてライブ・ハウスの扉を開く。そしてビールを飛ばしてジン・トニックをたのみカーっと飲み干す・・・。演奏が始まるまでにこうやってエンジンを温めておく。 ライブ・ハウスに通い…

1974年某月某日航空写真

ELMORE JAMES The Sky is Crying 先日ネット上である航空写真を見た。それは1974年の私の住んでいる街の上空から撮った写真だった。『人』は判別できない高度だが道路を走る車は確認することができた。この写真の何処かに『1974年』の『私』が確実に存在して…

夢で逢いましょう

Aly & AJ - Do You Believe In Magic (Best Quality) モノクロ映画というものも独特の味があるが私は50年代のアメリカのカラー映画の色彩に参ってしまう。「セピア色」というのとも違うのであろうが独特のメローな色彩である。「テクニカラー」とか「総天然…

九相図

The Doors - The Changeling 「小野小町九相図」という絵巻がある。小野小町を描いた絵であるという確証はないらしいが、それとおぼしき美しい女性の骸(むくろ)が桜の木の下に錦の内掛けを掛けられて放置されている。やがてそれは腐乱し、醜くふくらみ、う…

余韻

Laura Izibor - Don't Stay Live on Passport Approved 煙草は嗜まない私である。それゆえに煙草に関しては敏感なのかもしれない。臭いはもちろんなのだが、友達が部屋に来て一緒にワイワイガヤガヤやって飲んだあと、皆が帰ったテーブルには吸殻でいっぱい…

風に揺れたタンポポ

Susan Cagle "Ain't It Good To Know" video 仕事の都合で降り立った駅 そこには甘酸っぱい想い出と 感傷が詰まっている 学生時代 友人の下宿がそこにあった 六畳一間 風呂なし 共同便所 当時としても 時代遅れ バブルの時代には まさに隔世の感 浮世離れし…

塵裡に閑を偸む

[HQ] - Emmylou Harris - Rose of Cimarron - Musikladen Folge 69 - 11.03.1982 先日所用のために桜木町駅を夜11時頃利用した。この時間帯は酔っ払った人や疲れ切って帰路についている人がほとんどで駅の雰囲気は弛緩し切っている、構内にはゴミをかたづけ…

路地裏のピアニスト

James Booker - On The Sunny Side Of The Street (1977) 高度経済成長期に『三種の神器』という物があった。確か冷蔵庫、テレビ、洗濯機だったか・・・。それはいわゆる大人のステイタスであった。これも結局は大人のステイタスに帰着してしまうのだろうが…

架橋

ELVIS - Bridge Over Troubled Water (NEW mix! Great sound!) 大岡川に跨がる橋を眺めてみると 昭和四年辺りに集中して竣工していることがわかる プレートには(復興局)の名が刻印されている。 関東大震災から五年余り経過してやっと復興の兆しが見え始め…

横濱貴婦人物語・・・南洋の夢・・・

浪路はるかに ビリー・ヴォーン楽団 昨日は実に気持ち良い天気であった。私は横浜ランド・マーク・タワーのとあるレストランにいた。窓からは帆船日本丸を一望することができた。幸運なことに昨日は「総帆展帆」の日で訓練を受けて熟練したボランティアによ…

時盗人

Larkin Poe | Simon & Garfunkel Cover ("Sound Of Silence") 子供の頃に『大人』の『象徴』と考えていた物が幾つかあった。タバコ、髭、車、酒、恋愛・・・。それらの物に常に憧れを抱いていた。しかしながら前述のアイテムは子供にはまだ『ご法度』であっ…

母子  LOVE UNLIMITED、LOVE SUPREME

John Coltrane - A Love Supreme [Full Album] (1965) 小学生のとき同じクラスにM君という子がいた。M君は家が貧しく風呂にもあまり入っていないようだった。髪の毛はフケだらけで先生が見かねて学校の流しで洗ってあげたら髪の毛の中にガムが絡みついていた…

吊革

Eva Cassidy - Time After Time 私は『同窓会』という物にあまり縁がないようである。つまるところ学生時代全期間を通してクラスメートの中に『同窓会』を自分から企画して開こうというような奇特な人物がいなかったのである。『同窓会』らしき物は小学校を…

川崎裏街エレジー

Harry Nilsson - Everybody's Talkin' (1969) 前の会社の上司が説教をするときによく、「仕事の内容ではなくて金が稼ぎたいだけなら川崎に行って客引きでもやった方が余程いいぞ」と言っていたものである。川崎にはたくさんの客引きがいる、ソープ・ランド、…

SOMEWHERE OVER THE RAINBOW

Big Jay McNeely - Live in LA 1983 「カンサス・シティー!」私にとってこの土地は知らず知らずのうちに深い「縁」ができてしまったようである、まだ行ったことも観たこともないのであるが・・・・。 最初にこの土地の名を知ったのは「オズの魔法使い」であ…

欅(けやき)の樹は残った

Adrienne Young Sings Brokedown Palace 街中を歩いていて立派な樹を見かけると見入ってしまう。それは歴史探訪の端緒となるからである。川崎の街は空襲でほぼ焼失してしまい戦後は空き地という空き地に建物が建てられていった。そして海は埋め立てられてし…

続 奴の寂しい背中

This boy | The Beatles | lyrics CC 前回は「奴の寂しい背中」と題しながらも、彼の母上について書いてしまった、あまりにも魅力的な母上ゆえにいたしかたなかった。今回は問題の『奴』について書いてみたいと思う。 奴の背中の「寂しさ」に私がいつ頃気づ…

奴の寂しい背中

J J CALE.... city girls ( 1982 ) 当然のことながら自分の背中を自分で見ることはできない。鏡で見たとしてもそれは自然な背中ではなく構えた背中である。人の背中は無言のうちに実に多くの事を語っているように思える。小学生から中学生にかけてよく遊んだ…

RAINY MONDAY あの日 躍った赤い傘

Carpenters - Rainy Days And Mondays 歌の世界では『月曜日』と『雨』の取り合わせは多いようである。ブルースの『Stormy Monday』、カーペンターズの『Rainydays and Monday』・・・etc、探せばもっと出て来るであろう。恐らく『月曜日』と『雨』の憂鬱さ…

再会

Tom Waits - Martha (Rare Live Performance - Denver, CO 1974) 最近押し入れの中から引っ張り出しておいた「O・ヘンリ短編集」(新潮文庫全3冊)を昨夜の雨の音をBGMにして読んでみた。貧乏暮らしの夫婦がお互いのクリスマス・プレゼントを買うために女房…

Bill Evans Trio- We will meet again (for Harry) 坂口安吾は競輪の勝敗についてクレームをつけてから身辺が危なくなった。さらにクスリ等によって精神的にもあぶなくなり友人の壇一雄の家に一時期身をよせていたそうだ。(壇一雄・・・タレントの壇ふみさ…

藤棚のある家

Neil Young - On The Way Home & Tell Me Why 幼児用自転車の補助輪をはずして走れるようになったばかりの頃だと思う。行動範囲が格段に広がり隣の町まで足を伸ばしたりした。見知らぬ道に迷い込み半ベソをかき始めたときに声をかけられた。それは藤棚のある…