流れる光景


Midnight Train To Georgia - Gladys Knight & The Pips with lyrics

 

 

 

 

 

 

 

 

 

列車に乗って車窓から外を眺めていると家々や人々、田畑・・・etc、そんな景色が流れ、そして過ぎ去って行く。踏み切りで立ち止まる人々、道を歩く人々を眺めながら、この人はこの土地でどのような暮らしをしているのか、とか、闇の中にまばらに浮かぶ、家々の頼りない灯かりを見ながら、この頼りない灯かり一つ一つの下にそれぞれの家族が肩を寄せ合い暮らしているんだな、などと考え、空想してしまう。 
こういうのを「旅愁」とでもいうのかもしれない。 

日常生活、例えば仕事をしている時にも、ふと昔の光景が浮かんできたりする、あの時なんであんな事を言ってしまったのか、あの時なんであの事を言わなかったのか、とか、自分の行動に関する後悔もあるのだが、早死にした友の妙に優しく儚げな笑顔、別れていった人達の顔、友としたたわいもない話のこと・・etc 
その当時はまったく気にとめることもなく流れてしまった光景が鮮やかに浮かび上がってきたりする。 

まだまだ人生を振り返るには早すぎると思うのだが、つくづく時の流れは早いと思う、まるで新幹線に乗っている時のようだ。車窓から見える光景は、こちらの意図に関係なく後ろへ後ろへと流されていく、もう一度見たいから止めて!と言ってもそれはかなえられる望みではない、ただ、ただ自分の記憶に頼るしかないのである、人々も次第にそのことに慣れてしまって、この「流れる光景」をたわいないものと思い込み、そして後ろへ後ろへと追いやってしまうのである。しかし新幹線といえども無限に同じスピードで疾走し続けるわけではなく、やがて終着駅が近づくにつれて速度は落ちていく、そこではじめて車窓からの光景がよく見えてきて、それがかけがえのない光景である、と気づくのである、しかしながら速く、懸命に疾走していた時の光景はもう見ることはできない・・・・。