架橋


ELVIS - Bridge Over Troubled Water (NEW mix! Great sound!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大岡川に跨がる橋を眺めてみると

昭和四年辺りに集中して竣工していることがわかる

プレートには(復興局)の名が刻印されている。

関東大震災から五年余り経過してやっと復興の兆しが見え始めた頃なのだろう…



これらの橋は頑丈で各々独自の意匠が施されている…

戦前は今に比べて水上交通が盛んであった,そのために川面から見える橋の裏側に凝った趣向の装飾がみられたりする…

かつての橋の(顔)は歩行者よりもむしろ水上の船に向けられていたのである…。

 

橋を始めとして、建築,道路,街、風土

そして人…

数多くの個性的な(顔)を喪失させてしまったのが日本の戦後だったといえるのかも知れない…。



閑話休題






焼跡、廃墟…ゼロから始める都市計画

 

震災の悲惨さを目の辺りにした人々の地震に負けない都市づくり…

震災前の姿にに負けない(濱づくり)…

 

橋を眺めていると当時の人々のそんな熱い意気込みを感じる…

そして(願い)と(祈り)も

 

実際この頑丈で瀟洒な橋たちはどん底に落とされた濱の人たちを勇気づけたことだろう…

そして橋たちは震災よりも苛烈であったと思われる横浜空襲をも乗り越えた…

多くの(願い)と(祈り)を受けて架けられた橋は戦災からも焼け残り

再び人々の希望を繋げた…

橋は横濱復興の象徴ともいえるだろう…。








平和な小春日和の昼さがり

楽しく賑わう人波の傍らで

私は橋の袂から川面を眺めている

 

どん底から未来へ希望を繋いだ,まさに(架橋)…



はたして我々は橋を渡って

今度は何処に繋がって行くのだろうか…。



濁った川面に漣(さざなみ)と光が踊っていた。