茶呑み話

Baden Powell - Manha de Carnaval (1970) 先日『茶』の話をして思い立ち、岡倉天心の『茶の本』(和訳)を引っ張り出して再読してみた。日本人が英語で書いた著作の最高傑作と言われているだけあって短いながら無駄のない鋭い言葉で『茶』のみならず『東洋…

物持ちの良さと想い出

1973 RARE! - Joan Baez & Sister Mimi Farina Together 家で事業をやっていると案外古い道具などがたくさん残っている。作業用のテーブル、椅子、機械類、そして骨董的な価値さえありそうな事務用品・・・。それらすべて私が幼い頃から慣れ親しんだ物たちで…

歌謡曲えれじぃ

渡辺真知子 しばたはつみ ブルー 私が日本の「歌謡曲」を聴いていたのは昭和40~50年代である。自然とどこかから流れてきてそれを聴いていた。その後は洋楽ばかりを聴き始め「歌謡曲」には見向きもしなくなった。しかしながら最近は昔に聴いたヒット曲が流れ…

梅の香り

Here In Frisco もう梅の季節が訪れる。私の生まれた土地は『梅』にゆかりの深い土地である。明治17年の3月19日に明治天皇が観梅のために行幸し、この一帯は「小向村」から「御幸村」と名が変わった。そしてまさに『梅』とは縁を切っても切れない土地になっ…

奔馬 RUNAWAY HORSE

Jackson Browne - The Road and the Sky 先日私の家の近所の厩舎からサラブレッドが脱走するという椿事があり全国的にニュースとして報道された。私が子供の頃も馬が脱走して車が走る道路を疾走する姿を目撃したことがある。しかしながらそれは多摩川沿線の…

決まり

JOAN OSBORNE Sara Smile 小学校の頃だろうか「俳句」「短歌」について初めて学んだのは。「五・七・五」とか「季語」とか「枕詞」とかいろいろな「決まり」があることを知った。どんなことに関する「決まり」でも中学生くらいになると煩わしくなる、そして…

朗読会

Linda Ronstadt - Willin' - Live 1976 土曜日横浜山手にある神奈川近代文学館に俳優夏八木勲氏による芥川竜之介作品の朗読会を聴きに行ってきた。不肖私も朗読をした経験がある。朗読といえる程のものでもないが、放送部に在籍していた高校時代、毎年ちょう…

まなざしの集う場所

Bonnie Raitt - Angel from Montgomery (live) 日曜日に横浜美術館でセザンヌ展を観て来た。『セザンヌ主義』というタイトル通りにセザンヌ本人の作品と(セザンヌ・チルドレン)というべき画家たちの作品が集められていた。日本人の作品もあった。 私の場合…

忘れえぬ弦の響き

Joni Mitchell Big Yellow Taxi 1970.mp4 最初にギターに触れたのは姉のフォーク・ギターを隠れて触ったときだった。やがて姉は興味を失い、弦を錆びるにまかせてギターは放置された。そんなギターに興味を持ったのは思春期に入ろうとしていた私であった。姉…

東慶寺慕情

Joe Cocker - Let It Be 鎌倉にぶらりと出かけたときに「縁切寺」「駆け込み寺」として有名な「東慶寺」の墓所に佇んでしまうことがよくある。この墓所に眠っている人達はまさにそうそうたる顔ぶれである。小林秀雄、和辻哲郎、大仏次郎、高見順、西田幾太郎…

待つというふこと

Kris Kristofferson - Sunday morning coming down (1970) 人間は人生の限られた時間の内どれくらいを『待つ事』に費やすのだろうか。『待つ』ということはいかなる場合でも辛いものである、うれしい事を待つにしても、悲しい事を待つにしても、いずれにして…

STRANGER

Kris Kristofferson - Stranger (1975) 知らない土地への旅 列車の中に響く 御国言葉に耳をすます 珍しい鳥の囀りみたいな響きが 耳に心地よい 知らない駅に降り立ち 街を歩いてみる 街の風景は さして変わらないのだけど 聞こえて来る言葉が (異国)を感じ…

冬の西行桜

Larkin Poe | Duane Allman Cover ("Mean Old World") 花見にと 群れつつ人の 来るのみぞ あたら桜の とがにはありける 浮世と見るも山と見るも 唯其人の心にあり 非情無心の草木の 花に浮世のとがはあらじ (西行桜より) 十年、二十年、三十年、四十年・・…

あなたと夜と音楽と・・・

Marty Paich Quartet featuring Art Pepper - You and the Night and the Music 高校時代から十五年程「日本フィル友の会」の会員になっていた。コンサート情報等が入って来るし格安にチケットを購入することができたからである。クラッシック音楽を聴き始め…

颯々の聲

THE TEXAS TORNADOS LIVE at GRUENE HALL, TEXAS 炎天下にジョギングに出かけて行くと良くて『酔狂者』、悪くて『バカ』呼ばわりされてしまう、かくいう私もその筆頭である。暑い昼下がりに1リットルのペットボトルをぶら下げて多摩川に赴くと意外や意外『酔…

夜の鈍行列車

Doug Sahm - "(Is Anybody Goin' To) San Antone" [Live From Austin, TX] 飲み終えてふらりと乗り込む鈍行列車の雰囲気が好きである。気持ちよく酔った人、気持ち悪く酔った人、飲まずに残業をしていた人、様々な人が乗り込んでいるが、共通するのはみんな…

ルーツミュージック賛歌

"Memphis Soul Stew" (live) King Curtis & The Kingpins The Ikettes - Sweet Inspiration ジャズがポピュラー音楽界におけるメインストリームの座をロックに明渡したのはいつ頃のことだろうか。かつてジャズは、ボサノバ、アフロ・キューバン、アフリカン…

国際化今昔

Fly Me To The Moon - Frank Sinatra - Lyrics 無意識のうちに歌を口ずさんでいることがある。私の場合は「童謡」が多いようだ。感受性が強く、多感で頭が柔軟であった頃に覚えたものは忘れられないらしい。 その中でも「おぼろ月夜」はよく口ずさむ曲だ。こ…

レコード屋の想い出

フォーレ《レクイエム》全曲 クリュイタンス指揮/パリ音楽院管 この前テレビをつけたらカール・ベームの指揮による「ベートーベン交響曲第五番」の演奏を放送していた。 動くカール・ベームを見るのは本当に久しぶりであった。 そしてカール・ベームが好き…

闇の中の交響曲・・・彼岸へ・・・

Bruckner Symphony No. 9 (Abbado & BPO) かつてはクラッシク音楽の演奏会にもよく足を向けた。聴きに行ってみればとても気持ちがよいことはわかっているのだが、その都度予定を立ててチケットを購入するのは結構面倒臭いものである。それゆえに3回分くらい…

怪談芸術

Pharoah Sanders - The Creator Has A Master Plan 私はことに幽霊話については臆病なのだがどうしても聴きたくなってしまうのである。私は今まで実際に幽霊をみたことはない、友達で見えるという奴がいてそいつの話では人の家に遊びに行って見えてしまうこ…

都市伝説と怪談

小林啓子 - からっぽの世界 - 1972 今では「都市伝説」という言葉がちゃんと用意されていて社会学、心理学の分野では重要な研究材料になっているようだが、私が小学生の頃にはそんな呼び名はなく「噂話」としてその手の話が流布されていた。恐らく全国区に広…

常連

The Marmalade - Reflections Of My Life ライブ・ハウスという場所に初めて入ったのは大学生の頃だった。友人の中には中学、高校時代から通っている者もいたので私はかなり遅い方だった。ライブ・ハウスに行ったとはいっても友達のバンドの貸切ライブに協力…

無関心なるがゆえに残される歴史

Association - Never My Love - ( Buena Calidad ) HD 私が物心つく頃から我が家には古い踏み台が一つあった。その踏み台はいびつでいかにも市販品ではないことを物語っていた。私は幼い頃にその踏み台を様々な遊びに使った。馬に見立てたり、車にしたり、ボ…

家屋今昔

Sylvester Weaver & Walter Beasley - Bottleneck Blues [1927] あらためて自分の部屋を見回してみると実にせまい物だと思う。6畳の部屋なので物が置いてなければ充分な広さなのだろうが、あまり使わない机、本棚、そしてギター6本、CD、レコード無数・・・…

櫛草紙

山崎ハコ~流れ酔い唄 戦前の女の子は 櫛を選ぶときに 櫛の歯を一つ一つ (か・ぬ・ひ・も・と・・・) と数えて選んだとか 『か』・・・(買った) 『ぬ』・・・(盗んだ) 『ひ』・・・(拾った) 『も』・・・(貰った) 『と』・・・(とった) ともかく…

一人未満

"Na Na Na" by Theresa Andersson 『旅』という言葉を口にするのは少々気恥ずかしい。何せ私は旅の素人なのだ・・・。去年は富山、宮崎に出かけることが出来た。何の脈絡もない思いつきの友人再訪の旅だった(そのはずだった・・・)。出発するときは確かに…

MR.LONELY

Bobby Vinton - Mr. Lonely 遠い地平線が消えて、深々とした夜の闇に心を休めるとき、遥か雲海の上を音もなく流れ去る気流は、たゆみない宇宙の営みを告げています。満天の星空をいただく果てしない光の海を豊かに流れゆく風に心を開けば、きらめく星座の物…

霧の中

Jeff Lang - Sweet Virginia 小学生時代の遊び場の一つに大型のスーパーがあった。三階建てくらいの建物で屋上が駐車場となっていた。最近でも屋上に駐車場があるスーパーは少なくないが大抵はスロープを車で直接登って行くタイプが多いようだ。そのスーパー…

流れる光景

Midnight Train To Georgia - Gladys Knight & The Pips with lyrics 列車に乗って車窓から外を眺めていると家々や人々、田畑・・・etc、そんな景色が流れ、そして過ぎ去って行く。踏み切りで立ち止まる人々、道を歩く人々を眺めながら、この人はこの土地で…